備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

塩出忠次さんのご冥福をお祈りします。

 『技術の黙示録』の著書がある技術史家の飯島孝さんによる史料発掘のニュース。
 水俣病確認前に有機水銀の流出予見 チッソ報告書

 塩出氏は前年の工程試験で、合成中に有機水銀化合物ができることを報告していた。51年報告書では、実際に製造を始める前の試験で廃液の流出を確認し、対策を打ち出した。だが、塩出氏は「水銀回収がうまくいかない」と会社の対応への懸念を家族に漏らしていた。二つの報告書は長く社外に出なかった。
 チッソは51年夏、鉄を助触媒に増産を始め、公式確認の56年には生産量が約2.5倍になった。
 59年7月に熊本大が出した有機水銀説に対し、工場は「そうした事実は現在まで確認していない」と反論。塩出氏は家族に「会社の説明は現実と違う」と語っていたという。

 このニュースで初めて、塩出氏が一昨年亡くなられていたことを知った。ひょっとすると、人が死ぬとそれまで明らかにならなかった文書が出てくるということだろうか。

 田中さん、トラックバックありがとうございます。(また見てもらっていると思ってここにお礼を書いておきます。)私も、NHKの番組(書籍版にリンク)と比べてどこが新しい発見なのか今ひとつわかりませんでした。(何かあるんだろうと思いますが。)ちなみにVTRは、先週の授業で使ったばかりです。