備忘録

科学技術論を専門とする大学教員・研究者である林真理の教育、研究、生活雑記。はてなダイアリーから移行してきました。

新しい公園

 最近になって初めて行くようになった近所の小さな公園がある。どうして距離的には一番自宅から近いはずのこの公園に最近まで行かなかったのかというと、そこに公園があることに気づいていなかったからだ。
 その公園は、区営の団地の中にあって、団地の外からではその存在がわからない。といっても、団地自体は5棟ほどでそれほど大きくないし、比較的開放的な作りなので、敷地の中に入ろうと思えば簡単に入れる。知らないところに行きたがるよちよち歩きの2歳児に手を引かれて、偶然その敷地に入ることがあって、この公園を発見することになった。大人一人ではなかなかできない、無意味な寄り道のおかげで見つかったものだ。
 大きな木があって涼しい木陰のできるこの場所には、その後何度も来ている。しかし、他に子供と会ったことはない。どうやらほとんど誰も使っていないのだろう。近所のお母さんたちとの話の中でも、話題になったことはない。団地の中で人と会うことはあるが、だいたいお年寄りばかりだ。一度だけ、おばあさんがぼんやりと公園のベンチに座っているのを見たことがあった。木製のベンチは、長年の雨風のためにかなり朽ちてきている。屑籠はいつもきれいだが、これは掃除が行き届いているというより、ゴミを捨てる人がいないのだろう。花壇だったと思われるスペースはあるが、雑草が生い茂っているだけだ。隅には、団地の人か誰かが勝手に植えたと思われるアサガオがあって、金網を這い上っている。ちなみに遊具は、滑り台、ジャングルジム、それに鉄棒という、基本を押さえた昔ながらの構成だ。
 ところが、よく見ると過去に子供の遊び場であった形跡は、ちゃんとある。ボール遊びを禁じるプレートは、特に赤で書かれた「禁止」という文字が消えかけていること、「まり投げ」という今の子供に通用するかどうか怪しい表現があることから、かなり古いものだとわかる。他に、団地の壁にいたずらを戒めるようなプレートもあった。きっと、以前はここで多数の子どもたちが遊んでいたが、団地の居住年齢層が変化し、誰も遊ばない場所になったのだろう。団地に囲まれたこの場所は、近所の人たちの目が届く、とても安全な場所だったに違いない。
 公園はこんなところ。
近所の公園
 貼り紙はこちら。(一部加工済)
公園の貼り紙